出張命令と課長の使命感
「カワウソ課長、伊勢方面の福利厚生施設を視察してきてください。社員の癒しとリフレッシュのために、温泉・食事・宿泊環境を重点的にチェック願います」
社長からの一言で、カワウソ課長の出張が決まった。
彼は社内でも“癒しと爆買いのプロ”として知られており、福利厚生強化プロジェクトの責任者に任命されたばかり。出張先は三重県・伊勢。神宮の荘厳さと海の幸が魅力の地だ。
「よし、社員のために最高の癒し空間を見つけてみせるぞ!」
課長は鼻息荒く、社用車(軽バン)に乗り込んだ。
伊勢神宮で“心のデトックス”を体験
到着初日、課長はまず伊勢神宮へ向かった。
内宮の鳥居をくぐると、空気が一変する。木々のざわめき、五十鈴川のせせらぎ、そして参拝客の静かな足音――すべてが心を洗うようだった。
「これは…すごい。社員研修に“神宮ウォーク”を導入したら、メンタルヘルス改善間違いなしだな」
課長はメモ帳に「神宮ウォーク:月1回実施案」と書き込んだ。
その後、神楽殿で“団体参拝プラン”の資料を入手。社内イベントとしての可能性を探る。
参拝後、課長は五十鈴川のほとりでしばし瞑想。
「この静けさ、オフィスにも欲しい…」とつぶやきながら、川辺の石に腰掛けて、社員の顔を思い浮かべた。
おかげ横丁で“食の福利厚生”を検証
視察2日目は、おかげ横丁でのグルメ調査。
課長は「社員の昼食満足度向上」を目的に、地元の名物を片っ端から試食することにした。
まずは赤福本店。
「赤福氷ください」
抹茶の香りと餡の甘みが絶妙で、課長の目がとろける。
「これは…社内カフェに導入できないか?」
課長は“赤福氷社内提供案”をメモ。
続いて伊勢うどん。
「柔らかい…いや、これは“優しいうどん”だな」
消化に良く、昼休みにぴったり。社食改革案に追加。
焼き牡蠣の店では、店主と「福利厚生用の定期配送プラン」について真剣に交渉。
「社員が月1で伊勢の味を楽しめたら、仕事のモチベーションも上がるはずだ」
課長は“おかげ横丁定期便”という新制度案を思いつき、帰社後に提案することを決意。
宿泊施設の“癒し力”を体感
夜は、伊勢志摩の温泉旅館へ。
課長は「社員旅行候補地」として、宿の設備・料理・接客を細かくチェック。
露天風呂から見える星空に感動し、「星空風呂研修」と命名。
部屋に備えられたマッサージチェアに座りながら、「これ、オフィスにも導入したいな…」とつぶやく。
夕食の伊勢海老の刺身に目を輝かせ、「福利厚生費でこれが出せるなら、退職者減るぞ」と本気で考える。
課長は旅館の女将に「社員旅行プラン」の見積もりを依頼し、名刺交換まで済ませた。
出張報告書(妄想版)より抜粋
■出張目的:福利厚生強化のための現地視察
■訪問地:伊勢神宮、おかげ横丁、温泉旅館「癒しの宿・志摩の風」
■成果:
- 神宮ウォーク研修案(メンタル改善効果あり)
- おかげ横丁定期便構想(社員満足度向上)
- 星風呂付き社員旅行プラン(離職率低下に寄与) ■課題:
- 伊勢うどんの柔らかさに一部社員が戸惑う可能性あり
- 赤福氷の社内提供は季節限定となるため、代替案検討中
帰社後のプレゼンと社内反応
出張から戻った課長は、さっそく社内プレゼンを実施。
スライドには「癒しの力で業績アップ!」というタイトルが踊る。
若手社員:「星空風呂、行きたいです!」
経理部:「赤福氷は福利厚生費で落ちますか?」
社長:「カワウソ課長、次は北海道の温泉地も頼むよ」
拍手喝采の中、課長は満足げにうなずいた。
「社員の笑顔が、何よりの成果だな…」とつぶやきながら、次の出張先を思案する。
